√(x²) ≟ ±x

Xで話題に挙がっていた以下の数式について考える。

x2=±x\sqrt{x^2} = \pm x

この記事では xx は実数とする。

論理和の略記

方程式 x2=4x^2 = 4 の解は x=+2, 2x = +2,\ {-2} である。 これらを x=±2x = \pm 2 と省略して書くこともある。 これは x=+2x=2x = +2 \lor x = {-2} くらいの意味だろう(+22+2 \neq {-2} だから x=+2x=2x = +2 \land x = {-2} は偽だ)。

この考え方を冒頭の式に適用すると、次の論理式 (★) の略記といえる。

x2=+xx2=x()\sqrt{x^2} = +x \lor \sqrt{x^2} = {-x} \tag{$\bigstar$}

この命題は真である。

(証明) x0x \ge 0 のときは x2=+x\sqrt{x^2} = +x だから、(★) は真。 x<0x \lt 0 のときは x2=x\sqrt{x^2} = {-x} だから、(★) は真。 したがって、任意の実数 xx に対して論理式 (★) は真である。(証明終)

このように考えるならば冒頭の式は正しいと言えそうだ。

複号同順

「±」という記号は、以下のように「複号同順」という言葉と共に使われることもある。

(x±y)2=x2±2xy+y2(複号同順) (x \pm y)^2 = x^2 \pm 2 x y + y^2 \qquad\text{(複号同順)}

これは複数ある復号の同じ側を取ることにして、以下の2つの恒等式をまとめて書いたものである。

{(x+y)2=x2+2xy+y2(xy)2=x22xy+y2\begin{align*} \begin{cases} (x + y)^2 = x^2 + 2 x y + y^2 \\ (x - y)^2 = x^2 - 2 x y + y^2 \end{cases} \end{align*}

これらはどちらも成り立つ。

一方、冒頭の式には復号が1つしか出てこないので無理筋かもしれないが、「どちらも」真となるか、すなわち次の命題を考える。

x2=+xx2=x()\sqrt{x^2} = +x \land \sqrt{x^2} = -x \tag{$\diamondsuit$}

反例はすぐに挙げられるだろう。(♢) は偽である。 例えば x=2x = 2x2=22=4=22\sqrt{x^2} = \sqrt{2^2} = \sqrt{4} = 2 \neq {-2} であるから反例となる。

もっとも、冒頭の式には復号が1つしか出てこないから、このように考えるのは野暮かもしれない。

結局

x2=x.\sqrt{x^2} = \left| x \right|.
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